YAMAHAのCDプレーヤーCDX-2000

1980年代、いわゆるオーディオバブル時代ですが、その頃に製造されたCDプレーヤーを1台入手してみました。ヤマハのCDX-2000になります。

スペック

型式 CDプレイヤー
周波数特性 Direct:2Hz~20kHz ±0.1dB
Filtered:2Hz~20kHz ±0.3dB
高調波歪率 0.002%以下(EIAJ)
S/N比 118dB(EIAJ)
ダイナミックレンジ 100dB以上(EIAJ)
ワウフラッター 測定限界以下
出力電圧 0~2Vrms(可変)
外形寸法 幅474x高さ121x奥行418mm
重量 15.7kg
付属 ワイヤレスリモコン RS-CDX2000
※オーディオの足跡より引用

外観

現代のCDプレーヤーから見る限り時代を感じますが、CDX-2000は8倍オーバーサンプリングデジタルフィルターを搭載した次世代のモデルです。

フロント画面

この頃のCDプレーヤーは本体にボタンがたくさんあり、ディスプレイも細かく表示されます。どこに何のボタンがあるか瞬時に分かるので、ちょっとした機械操作に慣れない人にも便利です。

ディスプレイとボタン

電源ボタン付近にも色々とボタンがあります。リモコンがなくても「RANDOM PLAY」「SPACE INSERT」「REPEAT」「PROGRAM」といった機能の操作ができるのはとてもありがたいです。
※「SPACE INSERT」とは曲間が充分ではないディスクの場合、そのままテープに録音してもテープデッキ側で思い通りに選曲できない場合があります。そのような場合にはこの機能を使って、曲間に適当なスペースを挿入して録音しますとデッキ側の選曲ミスを防ぐことができます。(メーカー取説より引用)

トレイには8×Oversampling Digital Filter Hi-Bit Twin D/A Conversion systemと記載がある。

ディスクトレイは重量級のBMC(不飽和ポリエステル)を採用されており、共振を防ぐ効果があります。トレイの厚みもあるので、CDが安定して回ります。

ディスクトレイ

サイドは木製のパネルが備わっており、ニスの加工が難しい仕様が所有感を得られます。

サイドパネル

天板にも凝った造りがあります。排熱のためにスリットがあると思いきや、ただのデザインとなっています。でもこのデザインが音に良い影響を与えていそうでイイ感じです。

天板のスリット

バックパネルは極太のOFC電源ケーブルがついています。


LINE OUTはちょっとしたすごい仕様になっています。
【アナログアウトについて】
2系統あります。
①DIRECT端子は、8倍オーバーサンプリングデジタルフィルター、Hi-Bit D/Aコンバーターシステムを経由したアナログ信号がダイレクトに出力されます。(メーカー取説より引用)

②FILTER端子は、Hi-Bit D/Aコンバーターシステムを経由したアナログ信号が、さらにLPF(ローパスフィルター)を通して出力されます。(メーカー取説より引用)

また両方ともレベル可変のためプリアンプ出力として使うことができます。
【デジタルアウトについて】
2系統あります。
DIGITALはオプティカルとコアクシャルがあります。特段説明不要かと思いますが、嬉しいことにDIGITAL OUTをONやOFFにすることも可能なのでこだわりの設計と見えます。

底面には輸送用保護レバーがついています。輸送の振動から内部のレーザーピックアップ部を守るための装置がついていますので、使う際はレバーを矢印の方向にセットする必要があります。

視聴機の紹介

CDX-2000についているプリアンプ機能を使い、パワードスピーカーを用意して視聴環境を構築しました。

CDプレーヤー&プリアンプ:YAMAHA CDX-2000
パワードスピーカー:GENELEC G Two

Genelec G Two

視聴レビュー

『MASTER キートン  オリジナル・サウンドトラック』
トラック1:キートン

初めのバスドラの低音部分は弱め、高域のバンドネオンも弱めですが、全体的に中域から上下に響き渡る傾向、高い高域や低い低域は求められない
まさにナチュラルサウンドとふさわしい音色が伺われます。

『カードキャプターさくら ― オリジナル・サウンドトラック 4』
トラック25:ひとつだけ

ボーカルの曲で、ナチュラルにボーカルを聞かしてくれるのがいいです。収録されているリップノイズや細かい音はしっかりと拾ってくれているので、ワザと音色を作らない傾向は素晴らしいと感じました。
「もう少し前にボーカルが出て欲しい」とか「バックバンドの分解力が欲しいとか」そういう次元ではないことが良く分かります。

トラック1:プラチナ

この音源が絶妙にハマります。。当時リアルタイムで放映されていた
カードキャプターさくらのOPを聴いているかのようです。坂本真綾さんの中高域のボーカルが絶妙にハマり、バックのバイオリンの響きも確りと再現してくれる。しかも丁寧に!
だからこそ、分解力だとか、低中高域だとか、もうどうでもよくなるほどの鳴りっぷり、テープで聞いているかのようだ。ザ・アナログサウンド!!!!

『LULLABIES FOR FLUTE & HARP』
トラック1:ゴダール:ジョスランの子守歌

フルートとハープの構成で演奏される音源です。フルートとハープの配置が良く分かります。特にフルートとハープの丁寧な奏法が良くうかがえるので聞いていて素直に気持ちが良いです。変な図太い低音の要素をもったCDPだと過剰な弦のはじき方をしますが、そこも素性のままよく再現されていると思われます。

ちなみに『カードキャプターさくら ― オリジナル・サウンドトラック 4』トラック1:プラチナで聞いた感情のまま、こちらの音源を聞くとそっけなく聞こえます。
こちらの円盤情報を確認するとDDDと記載されており、最初の録音がデジタル、ミキシングもデジタル、マスタリングもデジタルという訳で、デジタル音源らしい音源が聞こえるのは当然だった。
アナログはアナログとしてデジタルはデジタルとして再生されるプレーヤーでは名機では?さすが耳と腕の良いエンジニアが作ったCDPはレベルが違います。

『WHITE ALBUM2 ORIGINAL SOUNDTRACK~encore~』
トラック1:Twinkle Snow

ボーカルの音源です。CDX-2000は丁寧な鳴らしこみが上手なので、このような落ち着いたボーカルモノは、気持ちが込められた歌い方がよく再現されている。この年代のオーディオ特性は中域にフォーカスされているが、もちろんこのCDPもそのような印象はあるが、素性が良いCDPなので
現代の音源でも十分にこなせていけると思われます。

総評

1980年代のCDプレーヤーもいくつか聞いてきましたが、CDX-2000は名機でした。この音色が現在ヤフオクで3万円~5万円程度で入手可能なので、下手な安いCDプレーヤー買うよりいいと思います。

やはり当時の設計者はイイ耳を持っています。

しかしリモコンが手に入らないのは残念です。

商業サイトでレビュー記事を書くようになりブログを立ち上げました。好きなジャンルはオーディオとファッション、食べ物はアジの酢〆と土佐醤油

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