2022年のオーディオショーで注目を浴びていたスピーカーです。デザインはダルマのようなフォルム、素材は鍛造といったオーディオ業界で想像がつかない素晴らしい代物です。買える機会がありましたので導入してみました。

メーカーページより引用
仕様
Specification
Frequency range:90-20,000Hz
Sensitivity:88dB @ 2.83V
Amplifier requirements:25 – 150W / 8 Ohm
Impedance:8 ohm
Cabinet:Vibrakill
Size:210 x 300 x 180mm
Weight (net):15
Colour:Nordic Black, Polar White, Casting Grey, and Fine Red
※メーカーページより引用
JERNとは
JERNとはデンマーク語で「鉄」を意味します。母体のSkalform社は1975年から続く鋳鉄メーカーでありエンジンに使われる部品などを製造し、有名自動車メーカー(例:アウディ、BMW、ロールスロイス、ボルボなど)に取引があります。どうやら、ここの社長がオーディオ好きであり鋳鉄(鋳物に用いられる鉄)が理想のキャビネットということでJERNを設立されました。
そもそも、この鋳鉄が理想のキャビネット素材になるかは、鋳鉄の前段階である、いくつかの銑鉄の種類の中でねずみ鋳鉄というものがあります。このねずみ鋳鉄は強度と振動吸収に優れていることからエンクロージャーの共振に向いているとのことです。
実際にエンクロージャーに使用することで「鳴き」が極端に少なく音楽のディスクに収録されたソースを忠実に再現できるそうです。つまり、従来のエンクロージャーのような自ら振動する部分によって汚れた部分がなくなり、音楽の大小関わらず細かい信号もリスニングできるということですね。
外観
外箱


内箱


開封

緩衝材

フロント(スキャンスピーク製ユニット仕様)

サイド(ダルマ型の独特フォルム)

リア(スピーカーターミナルはWBT採用)


スピーカー固定リング

サランネット(磁石式)


保証書

説明書

視聴機の紹介
スピーカー:JERN「14DS」
プレーヤー:LUXMAN D-03X,DCD-SX,DCD-SX1など
アンプ:DENON PMA-SX,PMA-A110,PMA-SX11,MODEL M1など


視聴レビュー
『BOW AND ARROW』米津玄師
TVアニメ「メダリスト」のオープニングです。
やさしくクッキリハッキリとボーカルとバックバンドを鳴らしてくれます。
冒頭のイントロでハッキリとスピーカーから出力される音数が多いことがわかります。
具体的には音の細部にわたる部分が繊細に出てくるので琴やバイオリンの1音1音の細かさがとてもきれいに表現されます。
この繊細に表現される部分は無理やり解像度を引き上げて出てくるような音ではないのでとても自然です。いかにスピーカーのエンクロージャーの響きで録音されていた音が消えてしまっているのが分かります。
ボーカルもクッキリハッキリとしております。冒頭と同じく自然に繊細な音が出るのでボーカルの口使いや息遣いによる強弱やイントネーションの表現がきちんと確認できます。バックバンドとボーカルの前後関係もきちんと濁らずセパレートに出てくるので3Dでシンフォニックなサウンドです。
これは素晴らしいスピーカーです。

『NEON GENESIS EVANGELION SOUNDTRACK 25th ANNIVERSARY BOX』
DECISIVE BATTLE
エヴァンゲリオンのサウンドトラックです。
最初はティンパニーのソロから始まりますが、このティンパニーをマレットで叩く強弱がしっかり伝わってきます。ただ強弱が伝わるだけではなく、ティンパニーをマレットで叩いた瞬間の強弱による揺れや叩いた細部にわたる響きもでてきます。
そしてトランペットはミュートを入れて吹きますが粒がそろっており、他楽器が入ってきても埋もれることはありません。
バイオリンは相変わらず弦と弓で擦る響き具合や粒立ちが非常に瞬発力があり聴きごたえがあります。
これらの楽器位置関係、録音した際の楽器の位置というのでしょうか。きちんとあらわされており、ふわっと広がるホールのような響きも美しいです。
表現力がとにかく素晴らしいです。

総評
ディスクやソースに収録されている音楽を無駄なくクッキリハッキリした音で再現してくれる素晴らしいスピーカーです。
クッキリハッキリだと聴き疲れもするのではないかと思われますが使う機材に比例した音が出てくるので組み合わせ次第かと思われます。
ちなみに….私は聴き疲れしやすいので、柔らかめの音がするシステムと組み合わせました。
例えば高価格帯アンプならDENONのPMA-SA、安価ならMarantzのMODELM1の相性が良かったです。
これまで様々なオーディオ機材を聞いてきましたが、この価格帯でここまでシステムがダイレクトに影響してくるスピーカーは初めてです。音源をそのまま逃がさず出力されるから、システムの力も必要なんだと思います。
本当に良いスピーカーだと思いますが、デメリットはあえて言うなら低音が出にくい所ですね。
ここはメーカーも専用のウーファーを用意していることから、低音が欲しければそれを買えということですね。
今井商事株式会社取扱品で43万円税別というプライス、価格が上がったにしても、鍛造製のエンクロージャー、スキャンスピークのユニット、WBTのスピーカーターミナル非常に良いパーツが使われております。そう考えればお得なスピーカーだと思われます。
日本でもオーディオショーで人気になったスピーカーで、買う人がそもそも少ないのか分かりませんが、ヤフオクに滅多に出てこない代物です。
私も1度しか見たことがないレベルです。買っても中々手放さないのでしょうね。素晴らしい。是非、聴いてほしいスピーカーです。


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