オーディオルームのパソコン用スピーカーが欲しくなりました。そこでオーディオショップのオヤジに話したら「NS-3000あるよ。ついでにSPS-3000もつけちゃう。どうよ!」と言われたので使ってみることにしました。
NS-3000はスピーカー部で希望小売価格:1,100,000円(税込)[2台1組]でSPS-3000はSPS-3000 スピーカースタンド希望小売価格:220,000円(税込)[2台(1台110,000円)]となるのでブックシェルフの中ではハイエンドなスピーカーです。
スペック
/ | NS-3000 | |
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主な仕様 | ||
型式 | 2ウェイブックシェルフ・バスレフ型(非防磁) | |
再生周波数帯域 | 39Hz~60kHz(-10dB),~100kHz(-30dB) | |
許容入力 | 60W | |
最大入力 | 120W | |
出力音圧レベル | 87dB/2.83V, 1m | |
インピーダンス | 6Ω (最小4.6Ω) | |
振動板 | ZYLON® | |
ボイスコイル | 真四角銅線 | |
スピーカーユニット | 3cmドーム型ツィーター, 16cmコーン型ウーファー | |
マグネット | フェライト | |
クロスオーバー周波数 | 2.8kHz | |
フィルター特性 | ツィーター:-12dB/oct, ウーファー:-6dB/oct | |
入力端子 | バナナプラグ対応ネジ式 | |
外形寸法(幅 × 高さ × 奥行き) | 244W×394H×292Dmm, 244W×394H×326Dmm(突起含む) | |
質量 | 13.1kg(1台) | |
付属品 | パッド4枚, 取扱説明書 ※スピーカーケーブルは付属しておりません。お好みのケーブルを別途ご用意ください。 |
/ | SPS-3000 | |
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主な仕様 | ||
材質 | 天板:スチール, 脚部:MDF/ラバーウッド, 底板:MDF/スチール, スパイク:スチール | |
外形寸法(幅 × 高さ × 奥行き) | 306W×648H×401D mm(スパイク含む), 306W×629H×401D mm (スパイク除く) ※スパイクは着脱可能 | |
質量 | 15.3kg [1台] | |
付属品 | スピーカー固定用ネジ2ヶ, スパイク4ヶ, 取扱説明書 |
開封(NS-3000)
NS-3000の外箱です。PPバンドで固定された状態で届きます。
外箱の上面には外箱の開封方法が書かれており、安心して取り出すことができます。
外箱を開くと内箱が出てきます。内箱のデザインがオシャレです。最近YAMAHAの高価格帯モデルは二重箱になっております。例えばプリアンプのC-5000、パワーアンプのM-5000などがあります。
内箱の上面、今度はスピーカーの開封方法が書かれた紙が貼られております。取り出しが分かりやすくて本当に素晴らしいです。
内箱を開封すると冊子、説明書、フェルト、ポートプラグが入っております。
スピーカーを取り出してみました。中身の梱包シートは入門~ハイエンドまで変わりないようです。ここは統一されているようです。
外観(NS-3000)
外観はピアノブラック色のみとなっており、ヤマハのピアノと同じ塗料が使われています。
サイズは244W×394H×326Dmm(突起含む)と大きくもなく、小さくもなくちょうどよいサイズ感です。
キャビネットの素材は北海道産白樺の節や穴などをひとつずつ取り除いた積層合板を選定された上、楽器研究や開発に用いられるレーザー設計とFEM解析を通じてスピーカーを仕上げています。ヤマハならではの資金力と長年の技術から成せる技となっています。
ヤマハのロゴはシールで貼られております。
ツィーターは3cmドーム型が採用されています。NS-5000で採用されたZYRON®が同じく搭載されており、ベリリウムの音速とアラミド繊維の内部損失といった両方の良いところどりをした振動板をユニットに採用されております。また、ツィーターは高域の不要共振を打ち消す特性技術が採用されており、音の微小信号を損なうことなく音の響きを蘇らせ、楽器や声の細部にわたるニュアンスを表現してくれる仕様となっています。
ウーファーは16cmコーン型が採用されています。こちらもツィーターと同様のZYRON®が採用されておりおります。これによりツィーターとウーファー間での違和感が無くなり定位性のある音が出てきます。
バスレフポートは背面にあります。NS-3000のメーカーページには記載ありませんでしたが、海外の説明書には記載がありました。恐らく「TWISTED FLARE PORT」かと思われます。クリアで忠実な低域再生が実現されています。
スピーカーターミナルは真鍮削り出しです。パワーアンプM-5000,プリメインアンプA-S3200等にも同様のタイプが採用されているため、これらの機材と組み合わせればスピーカーケーブルのスムーズな橋渡しができます。なお、バナナプラグや裸線にも対応します。
底面に、スタンド用の穴と品番シールが貼られております。ヤマハのSoavoはマレーシア製でしたが、こちらはインドネシア製でした。
外観からは見えない内部ですが、ネットワークに使われているコンデンサーはドイツのムンドルフ社製「MCap SUPREME EVO」、配線は「PC-Triple C」が採用されており、高級スピーカーならではの仕様となっております。
開封(SPS-3000)
SPS-3000の外箱です。PPバンドで固定された状態で届きます。
こちらは1本単位での販売のため、箱にも「1」と記載がございます。
外箱には開け方などの表記はありませんが、NS-3000で開けたように開封をします。
外箱を開くと内箱が出てきます。こちらも内箱のデザインがオシャレですが、スタンドの箱まで高クォリティー。スタンドに対してここまでの箱は見たことがありません。
内箱を開封すると説明書、インシュレーター4個、スピーカー固定ネジ2個が入っております。
インシュレーターはとても高級感ある仕様です。インシュレーターの底部分がまるみをおびているため、フローリングも傷がつきにくく使い勝手も良いです。
NS-3000をとめるネジも高級感があります。インシュレーターと同様の素材になっており、「共振」という意味ではとても好印象です。
外観(SPS-3000)
天板はスチール, 脚部はMDF/ラバーウッド, 底板はMDF/スチール, スパイク:はスチールといったハイブリットな構造です。サイズは306W×648H×401D mm(スパイク含む)となっております。
このスタンドのポイントは脚部とベース部です。脚部はMDFが採用されており、2本の支柱を前後に向き合わせる形で配置し、音の反射による影響を最小限に抑える工夫が施されております。
ベース部は4.5mm厚の鉄板に18mm厚のMDF 2枚を張り合わせた3層構造とこだわりの設計です。さらにポリウレアコーティングがされているため表面がさらさらしております。
スタンド背面です。
視聴機の紹介
スピーカー:YAMAHA NS-3000
パワーアンプ:YAMAHA A-S3000
プリアンプ:Marantz SR8015
再生機:Apple TV 4k
音源はYoutube Musicより視聴を行いました。
視聴レビュー
最初に聴いた瞬間「これが110万円の音?」という印象を持ちました。しかし、筆者は3日後に上位モデルNS-5000が欲しくなってしまいました。理由は音楽視聴をしながら書き込んでいきます。
『TRUTH THE SQUARE』
トラック05:TRUTH
フュージョン系です。シンプルな音調に飛んでくるのがEWI。透き通るような滑らかさが普通に流れてきます。
これを聴いても「興奮」というような印象はありませんでした。ただ筆者は楽器をやっているのでreface DXを使って耳コピしながら弾いてみると「reface DXとEWIがピタっ」とグラフが完全一致したかのようにまとまるのです。様々な楽曲の耳コピをする際に、スピーカーから音を聞くわけですがここまで一致するスピーカーは初めての経験です。すげー面白いスピーカーだと思いました。
単純に「スゲー」
様々なメーカーで「定位」「定位」と言いますが、これだけ「定位」が良くて音がシンプルなのは中々見つけることができません。
『篤姫 オリジナルサウンドトラック』
トラック01:篤姫(メインテーマ)
オーケストラです。このブックシェルフのスケールでも見事な鳴りっぷりです。この見事というのは、「音圧」というより「再現性」という意味合いです。
昔のNS-1000Mではベリリウムツィーターが採用されていたのを覚えていますが、これはそれに代わるツィーターが採用されており、音反応が著しくスピーディ。音が遅れることなく譜面上どこからどの楽器がでてくるのか、キッチリ聞こえてきます。
※譜面はぷりんと楽譜から入手可能です。
『SuperBloom』
01:SuperBloom
女性声優ユニットです。絶妙に優雅にならしてくれます。
NS-3000はモニター要素が強いため、聴いていて楽しいかと言われると個人差ありますが、それぞれ声の持ち味を分解して聞けるので、魅力的な音色です。
総評
じっくりきいて分かるスピーカーかと思います。音色はモニターよりでも、これまでのモニターとは異なり、音楽の分析力が非常に高いです。それでいて、アンプの組み合わせを吟味することで楽しいスピーカーにも化けます。
私はECLIPSEやGENELECが大好きですが、これは別の意味でパフォーマンスが高く、むしろ110万円というプライスタグはコスパ良いのではないかと思ってしまいます。
ヤマハは膨大なデータからオーディオ製品を生み出します。その膨大なデータから誕生したスピーカーが悪いわけがありません。
たぶん売れるスピーカーではなく、エンジニアが作り上げたかったスピーカーではないかと思います。
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