モノを選ばなければ新品1万円でプロジェクターが買える時代です。この時代にハイエンドプロジェクターを購入する方はマニアだと思いますが、そういった方たちが気になる部分は「故障のリスク」です。10年以上に渡って50万円以上のプロジェクターを買換え続けて見えてきたことを話したいと思います。

1.ハイエンドプロジェクターとは
ここでハイエンドプロジェクターとは、本来の機能である「投影」に特化したモデルを示すと考えています。メーカーはエプソン、JVCケンウッド、ソニーから発売されており、定価50万円以上のモデルです。
これらのメーカーから発売されている製品は定価が高いだけあって、内部に使われている部品も非常に高価な場合があります。
私のブログで紹介してきたモデルだと下記が該当します。
2.どんな故障が多いのか?
プロジェクターの故障は様々な要因もありますが、私がメーカーから聞いた話やオークションサイトのジャンク品を見たときにあった故障内容は下記の通りです。
【1.映像の投影に関する故障】
・画面がゼブラ模様になる
・画面に色むらが発生する
・ドット抜けがある(一部対象外)
・赤いラインが発生する
・画面が焼き付いている
・画面が暗い
・レジズレ
【2.操作に関する故障】
・電源がつかない
・レンズシフトが動かない
・電源が途中で落ちてしまう
・HDMIが認識しない
【3.物理的な故障】
・落下により破損してしまった
・雷によって電源基板が破損してしまった
・水害によって水に濡れてしまった
【1.映像の投影に関する故障】が最も多いイメージです。原因は寿命も含めて「熱」と関係があるようです。ざっくりとした説明で恐縮ですが、液晶プロジェクターには光を透過させる液晶パネルや偏光板が熱を吸収します。ここでプラスチックなどの部品を使っていると化学変化を起こし変色や焼き付きなどが起きます。
この「熱」に関する部分は使用上における環境に変化するので、みんなが同じ個体で同じタイミングで発生する訳でもなくまちまちです。部屋温度の高い部屋、多湿や油の多い部屋、ほこりの多い部屋などでは発生がしやすいと考えており、故障の対策として温度管理された専用部屋での使用が望ましいと思われます。
【2.操作に関する故障】も熱に関連する部分が多いと思われます。内部に含まれているDC電源は平均寿命というものが決められており、環境によってはそこの寿命を超えても使えるものは使えます。ここも専用部屋でアース管理された電源接続が望ましいと思われます。
【3.物理的な故障】はなんとも言えない所があります。対策として設置する際は1人ではなく2人以上で行う、設置後は落下防止処置を施す、何かあった時ように「家財保険」に加入しておくことが望ましいと思われます。
3.修理費用はどのくらいかかるの?
プロジェクターの場合、修理費用が高額になります。【1.映像の投影に関する故障】は光学系の故障なのか、信号基盤系の故障なのかによって異なります。光学系であれば、プロジェクターの主要部品になるので、非常に高額です。最低40万円以上はかかる場合が殆どです。信号基盤系であれば10万円程度~といった所でしょう。
【2.操作に関する故障】は電源基板系の故障であれば10万円程度以下ぐらいで済む可能性が高いでしょう。レンズがシフトしない場合はこれもそこまで価格はかからないと思われます。ただし、他の部材と一体型の部品となっている場合は高額になりかねません。
【3.物理的な故障】は光学系も電源や信号系基盤のいずれも故障していることやボディの破損についても含めると1や2よりも高額になる可能性があります。ただし水害は除いて、落下であればもしかすると使える場合もあります。ここはメーカーとコミュニケーションをとった上で使用を検討しましょう!
ちなみに….筆者が使っていたSONY VPL-VW745の光学ブロック不良では下記の通りでした。
部品代592,500円
技術料13,000円
出張料3,800円
合計609,300円
※税抜き

4.新品のプロジェクターに延長保証は必要か。
延長保証は基本的に購入価格の10%の追加費用がかかります。100万円であれば10万円も上乗せして支払うことになります。
筆者なら新品購入で5年以上使うのであれば延長保証加入をおススメします。
延長保証は長期的な運用を考えた場合、不具合というのはどこかしら出てくる可能性がございます。筆者のVPL-VW745は5年以内に起きていますが、延長保証加入していなかったので609,300円という費用がかかっています。
延長保証がいらない場合は、ある程度の経年劣化による色むらも許容範囲であること、故障したら買換えや実費で修理するぐらいの気持ちがあれば問題ないと思われます。ただし、とてもシビアな部分ですので、くれぐれも判断は自己責任でお願いします。
5.中古のプロジェクターはおススメなのか。
4Kプロジェクターの価格が落ち着いてきました。お安くなってきたタイミングだからこそどうなのか。筆者は中古プロジェクターの購入は大いにアリだと思います。だって定価よりも半額以下で買えるから。私が中古プロジェクター購入する時の注意点を下記に記載しておきます。
【1.使用時間が浅い】
水銀ランプのプロジェクターであれば「ランプ交換履歴なし」若しくは「1度」ぐらいまでの個体を選びます。レーザー光源であれば「使用時間が浅い」個体を選びます。双方ともにより短い時間を選ぶのが良いです。
【2.使用環境が良い】
プロジェクターの使用時間が極端に少ない。例えば発売から5年以内で10H~、1000H以下、ぐらいであればそこまで考えなくても良いですが、4000H、5000Hぐらいまで使われているプロジェクターや使用時間が浅くても5年以上たっているプロジェクターであれば使用環境も気にした方が良いです。高温多湿や埃の多い環境では通常の環境と比べて劣化が早いと思われます。
【3.保証がついてる】
販売店やメーカー保証がついている個体は購入後が安全です。この場合は手元に届いてから動作確認できるわけですから【1.使用時間が浅い】や【2.使用環境が良い】はある程度許容しても良いでしょう。
【その他】
アライメント調整は問題ないか、色むらがないか、そのあたりも確かめられたら確認しておきましょう。ただし、【1.使用時間が浅い】~【その他】まで完璧なプロジェクターがあれば最高ですが、すでに新品水準に限りなく近いので、落としどころを見つけて買うのがベストでしょう。

6.最後に
「ハイエンドプロジェクターが故障したらどうする?」を題材に記事を書きましたが、どんなものでも故障はつきものです。だから何も考えずに買うと故障のリスクも上がってしまうものです。価格は落ち着いても趣味の世界では高額部類に入るので、少しでもお安く買えればと思います。





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