マランツのAVアンプ「NR1711」

最後のM筐体となったモデル。これがミソで、最後のM筐体は改善しつくした、いわゆるM筐体の完成形と言える代物です。今回生産完了になりましたが、実は8K / 60p、MPEG-4 AAC、HDR10+、Dolby Atmos、DTS:Xに対応、アンプ部のパワーアンプはフルディスクリートで同一構成、同一クォリティー、何もかもが良くできた代物となっております。今回、量販店で展示品処分としてお安く購入することができたので試してみました。

スペック

搭載パワーアンプ数7 ch
定格出力50 W + 50 W(8 Ω、20 Hz-20 kHz、THD 0.08 %)
実用最大出力100 W(6 Ω、1 kHz、THD 10%、1 ch駆動、JEITA)
適合インピーダンス4-16Ω
SN比98 dB(IHF-A、ダイレクトモード時)
周波数特性10 – 100 kHz(+1、-3 dB、ダイレクトモード時)
HDMI端子入力×6(8K対応入力×1)、出力×1
映像入力端子コンポーネント×2、コンポジット×3
映像出力端子コンポーネント×1、コンポジット×1
音声入力端子アナログ×3、Phono(MM)×1、光デジタル×1、同軸デジタル×1
音声出力端子2.2chプリアウト×1、ゾーンプリアウト×1、ヘッドホン×1
その他の端子ネットワーク×1、USB(フロント)×1、セットアップマイク入力×1、Bluetooth/Wi-Fiアンテナ入力×2、
FMアンテナ入力×1、AMアンテナ入力×1、マランツリモートバス(RC-5)入出力×1、DCトリガー出力×1
チューナー受信周波数帯域FM: 76.0 – 95.0 MHz、AM : 522 – 1629 kHz
無線LAN(ネットワーク種類 / 周波数)IEEE 802.11 a/b/g/n準拠(Wi-Fi®準拠) / 2.4 GHz、5 GHz
Bluetooth“バージョン4.2
対応プロファイル受信: A2DP 1.2、AVRCP 1.5、送信: A2DP 1.2
対応コーデックSBC
送信出力 / 通信距離Class 1 / 約30 m(見通し距離)”
電源AC 100V、50 / 60 Hz
消費電力250 W
待機電力0.2 W(通常スタンバイ)/ 0.5 W(CECスタンバイ)
付属品“かんたんスタートガイド、リモコン(RC035SR)、単4形乾電池 × 2、セットアップマイク、マイクスタンド、
ケーブルラベル、FM室内アンテナ、AMループアンテナ、Bluetooth / Wi-Fiアンテナ×2、電源コード”
最大外形寸法“W440 x H105 x D378 mm (アンテナを寝かせた場合)
W440 x H173 x D378 mm (アンテナを立てた場合)”
質量8.3 kg
https://www.marantz.jp/ja-jp/shop/avamplifier/nr1711より出典

外観

M筐体のフロントパネル。サイズはW440 x H105 x D378 mm (アンテナを寝かせた場合)W440 x H173 x D378 mm (アンテナを立てた場合)とスリムな設計で、テレビ下のAVラックらくらく収まります。計器パネルも見やすく、ZONE出力やINTERNET RADIO、SOUND MODEなど、比較的使うボタンが配置されております。

天井は熱廃棄用のスリットがたくさんあります。ラックに収める際、ここをふさいでしまうと故障の原因になりますので、天井部分は少し空間を開けて設置するのがおススメです。

背面はWi-Fiアンテナ、LANポート、FM/AMアンテナ、赤白音声入力、スピーカーや映像出力など幅広くあります。このクラスだと機能に制限があるモデルが多いのですが、基本的な部分とちょっとマニアックなZONEアウトなど揃っており、運用に申し分ありません。

リモコンはとてもシンプルなタイプです。フラッグシップにあるようなボタンが発光するような機能はありませんが、シンプルだからこそ見やすく使いやすいのが特徴です。※リモコンはメーカーサイトより出典しました。撮影忘れです。

電源ケーブルはKenic製の1.8mとなっております。

セットアップマイクは上位モデルと同じタイプとなっております。

電池は単四2本となります。付属品の電池でトラブルになるのが電池の液漏れです。こちらのタイプでは経験ありませんが、心配な方は市販品の電池を推奨します。おススメ電池のリンク入れておきます。

AM/FMアンテナ

簡易マイクスタンド。組立タイプで任意の高さに設置ができる。決めつけは良くないけど、恐らく大体のご家庭は購入時しか測定しないはずです。三脚を買わなくて済みます。

AVアンプはたくさんのケーブルが必要になります。そんなときに困るのが「ケーブルがどれがどれだか分からなくなってしまう」ことです。そこで便利なのがこのシールです。スピーカーケーブルだけではなくHDMIケーブルなどのケーブル用のシールもあるので大変重宝します。

かんたんスタートガイド。紙のマニュアルはこれだけですが、これだけで良い理由があります。それは後ほど説明します。

スピーカーケーブルが別売りとなります。コスパの良いタイプを紹介しておきます。音が太くてナチュラルでおススメです。

セットアップ1

本体にWi-Fiアンテナ、電源ケーブルとマイクを接続、本体のHDMI OUT(出力)からテレビやプロジェクターに接続し、マイクスタンドにマイクと立ててセットアップを進めます。

電源を入れて進めるとこのような画面がでてきます。これが先程、分厚い説明書がいらないといった理由です。画面を見ながらセットアップが進められます。

スピーカーの配置と接続の説明を聞きながら、設定していきます。

スピーカーの接続方法もアニメーションを使って説明してくれるので心強いです。

まずはフロントスピーカーです。フロントスピーカーの配置を見ながら、AVアンプのどこに接続すればよいのかを説明してくれます。それ以外も同様に説明してくれますのでここでは割愛します。

サラウンドバックやDolbyAtmosなど使用したいとき、そうでないときがあります。そのような場面も説明に加わっておりますので、初心者でも迷わず進められます。

接続完了すると、テストトーンを使って調べます。これにより、例えばスピーカーの接続場所が違うとか、接続の+と-を逆に接続してしまうとかを防ぐことができます。

セットアップ2

次にスピーカー測定に入ります。耳の高さに設置して測定を行います。測定時は静かな環境が必要です。このマイク測定は「足跡」「車のエンジン音」などでも反応するため、可能であれば音の少ない時間帯、例えば深夜などおススメです。

測定中はこのような画面になります。マルチポイント(全6箇所)なので数か所行いますが、こちらも画面が同様なので割愛します。

すべて完了するとこちらの画面が表示されます。

セットアップ3

オプション的な機能の設定もあります。ここはあまり気にしませんが、例えば深夜にテレビや映画を視聴するときに小音量でも低音や明瞭さなど、サラウンドの音質を維持する機能が必要であれば「はい」を選択します。

ここまで完了すると、マイクを使ったセットアップが終わりますので、説明に従いマイクを抜きます。

筆者の最終的な構成は次の通りでした。

視聴機の紹介

フロントスピーカー:DENSO TEN TD712zmk2-S(BK)
センタースピーカー:DENSO TEN TD712zmk2-S(BK)
サラウンドスピーカー:DENSO TEN TD712zmk2(BK)
サブウーファー:FOSTEX CW250D
AVアンプ:マランツ NR1711
ブルーレイプレーヤー:DMR-ZR1
プロジェクター:JVC DLA-V7




視聴レビュー

『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018』宇多田ヒカル
01:あなた※ネットフリックスより視聴

まずはサウンドモード設定を「Auto」です。

いきなり良い音がでてきました。ライブらしい広大なホールの広がり感の中で凛として歌う宇多田ヒカルのボーカルが際立ち、ライブの世界に没入できました。分解力があり、ノイズも少なく、やや中高域よりであるものの、マランツらしい艶やかで柔らかい音色は健在で、上位クラスに引けを取らない音色です。

今度はサウンドモードMUSIC「Dolby Audio-Dolby Surround」です。

スピーカーのない所から音がでてくる印象でした。バーチャル機能のレベルが上がっていることが良く分かります。おもちゃみたいな音がしなくこれは素直に良いです。

『五等分の花嫁 第1巻 [Blu-ray]』
01:五等分の花嫁

まずはサウンドモード設定を「Auto」です。

ステレオ収録なので2本のスピーカーからしか音がでていないのに、
音に広がりがあり、まるでサラウンドで聞いているかのような印象です。

それでいて、声の歯切れ具合、肉質感もあり、安っぽい音がしなく
十分満足できるレベルです。

今度はサラウンドモードMOVIE「Dolby Audio-Dolby Surround」

声はセンタースピーカーを中心に効果音のシャワーが広がります。
違和感も少なく、こちらもMUSIC同様にバーチャル機能が良いため素直に楽しめます。

総評

非常に良くできたAVアンプです。
AVアンプに迷ったらこれを選べばよいといっても過言ではありません。
バランスが良く、上位モデルからの美味しい部分のエッセンスを加えておりコスパが非常に良いです。

ただし、出力の必要なスピーカーには非力であることは否めません。D&Mホールディングスの営業担当に尋ねると、トールボーイならばDALIのSPEKTOR6が限度ぐらいと話されていました。スペックで言うと推奨アンプ出力が30~150Wなので、確かにならないことはないけど、これ以上を入れるとパワー不足になるのもなんとなく分かる気がします。

購入時はスピーカーを選ぶかもしれませんが、そこをしっかり見極めて問題なければ良い選択であるので間違いのない選択です。

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