半導体不足でずっと届かなかったRX-A8Aがようやく届きました。久しぶりに新品で購入したので細かくレビューしていきます。定価は484,000円(税込)です。
仕様
仕様はこちらをご確認ください。
外観(特徴)
RX-A8Aと言えば、アベンタージュのフルモデルチェンジしたシリーズのフラッグシップ機になります。11CHすべてにアンプが内蔵されており、D/Aコンバーターは「ES9026PRO」を2基搭載されています。
サラウンドはDolby AtmosとDTS:X(1台で最大7.2.4ch)、AURO-3D(1台で最大11.1ch)に対応し、フォーマットも8K/60Hzまで対応してくれるので長期的な運用が可能です。
今回のモデルから回路構成も一新されており、プリアンプ部には理想的な信号、電源、グランド配線を可能にする4層基板を採用することで信号経路の最適化を図っています。
パワーアンプ部には電流増幅部と電圧増幅部の電源巻線を分離したカスタムメイドのトランスを搭載したうえ、パワーアンプ部電源用とグランド配線にヤマハ セパレート パワーアンプ「MX-A5200」と同じ太さの配線を採用することでさらなるローインピーダンス化を実現しています。
デザインも一新されております。フロントパネルは1枚の板上になることで、「制震対策」があがりました。ヤマハ店員は言うには「叩いてみてもほとんどビビらないでしょ?」と言うぐらい良くできているそうです。
サイド板は1体型モデルでありながら、セパレート板になりました。実質CX-A5200/MX-A5200の後継機にあたるので、やって当たり前と言えばそうですが、ここでも制震対策がされております。
天板はプラスチックと鉄?か何かの合成になっております。これによりSN比を高めているという話をヤマハ店員から聞いてきました。ただのプラスチックではないのでご安心ください。
背面はご覧の通りです。コンポーネント、アナログ系統がほとんどなくなりました。XLRフロント出力、XLR入力があるのはフラッグシップならではの構成です。地味に嬉しいのが、フォノ入力やZONEOUT用のHDMI出力があることです。
付属品はご覧の通りです。
AM/FMアンテナです。ラジオを聴く時に便利です。
YPAOマイクです。これで音場測定を行います。確かこのタイプに変わったのはRX-A3020からですので、はや10年近く変わっていないと思います。
YPAOマイクベースとポールです。音場測定を複数の位置で行う場合に使います。
リモコンはRX-A3080シリーズから新タイプになりました。以前より細く持ちやすくなりました。
ボタンを押すと、リモコンが発光するので暗い部屋でも便利です。
電池は単四が2本になりました。以前は単四が4本でしたのでエコですね。あっ、そういえばヤマハのフラッグシップモデルはいつもアルカリ電池がつきます。
リモコン裏面はメッシュ加工がされており、個人的な感想ですが、以前のリモコンよりも汗が逃げやすくなったきがします。
電源ケーブルはフラッグシップでは毎回おなじみの極太OFCケーブルです。なお、他社のフラッグシップはVolex製の安いタイプがつくようになりましたので、さすがヤマハといったところでしょう。
説明書はこれだけになりました。簡単な注意事項とアプリのセットアップなどは掲載されていますが、それ以外は、分厚い取扱説明書はネットで見ます。
筆者は使う前に背面の端子類にカバーをつけました。プラスチックは音の悪さが少ないためおススメです。
セットアップ
YPAOマイクを本体にセットして測定を行います。この時に複数位置を測定したいときはYPAOマイクベースや、ポールを使いますが、筆者は一つの位置で測定をします。なお、測定時は三脚があると便利です。
自動で測定が完了します。基本的に音のパラメトリックイコライザーはYPAO:フラットですが、フロント近以、ナチュラルなど、選べます。
なお、このモデルからパラメトリックイコライザーにYPAO:低周波数領域というモードができました。室内の残響低音域(定在波)を調整することで、低域を最適化し、低域のメリハリ、見通し感が向上します。つまり鉄筋コンクリートの環境でも適切に環境が構築できるということかと思います。
以前のモデルからGUIも見やすくなっております。あえて紹介する必要もないですが、ヤマハ特有のピアノ壁紙が標準でなくなりました。
視聴機の紹介
フロントスピーカー:DENSO TEN TD712zmk2-S(BK)
センタースピーカー:DENSO TEN TD712zmk2-S(BK)
サラウンドスピーカー:DENSO TEN TD712zmk2(BK)
AVアンプ:YAMAHA RX-A8A(※AmazonリンクはRX-A4A)
ブルーレイプレーヤー:Panasonic DP-UB9000(Japan Limited)
プロジェクター:EPSON EH-LS10500
サブウーファー:FOSTEX CW250A
視聴レビュー
第一印象は音がスムーズに広がりました。まるで「音のシャワー」です。スピーカーの音離れがよく、切れ味もイイです。低域から高域にかけて、解像度は高く、明瞭感のある音色です。
『ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~』
視聴モードは「SUROUND AI」、センタースピーカーから放ったセリフが全体のスピーカーに広がります。自然な鳴り方をするので、全てのスピーカーを同一クォリティーで再現してくれます。
冒頭0:14:26~、榎本夏樹が回想で「告白、予行練習だよ!」というセリフが最初から最後まできちんとなります。分析型のAVアンプです。
エンディング0:57:45~、複数のボーカリストが同時に歌うのですが、それぞれの分解力が高く、どのスピーカーがどの役割をしているのか、一瞬一瞬で次の展開に進み、音を限りなくデジタルに再現してくれる傾向でした。
『「君の名は。」』(UHD)
視聴モードは、「STRAIGHT」、1:32:60の隕石が落ちてきたときの衝突音はちょっと抑えめですが、音の見事な広がりのおかげで、寒気をかんじました。加えて、音のSN比が良いので、隕石が落ちる瞬間のスピード感は鳥肌モノで、怖く感じました。
『藍より青し』
視聴モードは、「ステレオ」「Dolby Audio – Dolby Suround」
まず、0:11:50のはなびしかおるとさくらばあおいが、コーヒーを飲みながら話すシーンですが「ステレオ」で試すと、肉付きの良い音質が聞こえます。あえてサラウンドっぽくならず「ステレオ」は「ステレオ」として表現してくれます。切り分けが上手なAVアンプです。
今度は「SUROUND AI」で試すと、個人差はありますが、違和感なく音が全体に広がってくれます。ここは他社では真似ができません。2CH音声をきちんとサラウンドに広げてくれます。
総評
分析型のAVアンプです。小さい所は小さい音、大きい所は大きい音、その微妙な差分までも再現されます。以前のモデルよりもSN比が良くなりスピーカーの音離れも向上しておりますので、単純に筐体の違いだけではなく中身、特にプリアンプ部分が良くなっているイメージです。
そして相変わらずヤマハは音空間表現が上手です。広がりは他社を寄せ付けませんし、今回のRX-A8Aは良くできており、まるで「スピーカーがきえる」ような印象です。
じゃあデメリットは何か?というと、あまり感じられません。
欠点のあら捜しをするならば、AVC-A110で感じていたパワーで押すようなダイナミックさが足りないかもしれませんが、好みの問題もあるので甲乙がつけられません。
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